病気やケガは、ある日突然やってきます。
「まだ若いから大丈夫。」
「健康だから年金なんて関係ない。」
「収入が少ないから国民年金は払えない。」
そのように考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、障害年金の相談を受けていると、「保険料を納めていなかったために障害年金を受給できなかった」というケースは決して珍しくありません。
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障が生じた方を支える大切な制度です。
しかし、障害の状態が重いだけでは受給できません。
実は、「保険料をきちんと納めていること(または免除などの手続きをしていること)」が、とても重要な条件となっています。
ここでは、障害年金を受給するために欠かせない「保険料納付要件」について、初めての方にも分かりやすく解説します。
障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に大きな支障が生じた場合に支給される公的年金です。対象となる病気は非常に幅広く、
うつ病、統合失調症、双極性障害、発達障害(ASD・ADHD)、知的障害、がん、糖尿病、心疾患、脳卒中、人工透析、人工関節、視覚障害、聴覚障害
など、多くの病気やケガが対象になります。
そのため、「障害年金は事故で手足を失った人だけが受給できる制度」というイメージは誤解です。
一方で、障害年金にはいくつかの受給要件があります。
その中でも、最初に確認されるのが保険料納付要件です。
障害年金では、「初診日」が非常に重要になります。
初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師や歯科医師の診療を受けた日のことです。
そして、この初診日の前日までに保険料納付要件を満たしているかが審査されます。
つまり、
「障害が重くなってから保険料を納めよう」
では間に合わない場合があります。
これは、多くの方が知らない重要なポイントです。
原則として、初診日のある月の前々月までの加入期間について、
保険料を納めた期間と免除された期間を合わせて3分の2以上あることが必要です。
ここで重要なのは、
など、法律上認められた期間は納付要件に反映されるということです。
反対に、「何も手続きをせず未納になっている期間」は納付要件を満たす期間として扱われません。
一定の条件を満たす場合には、
初診日の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないことで納付要件を満たせる特例があります。
この特例に救われるケースも少なくありません。
ただし、誰でも利用できるわけではなく、適用条件があります。
制度を正しく理解しておくことが大切です。
20歳になると、学生であっても国民年金への加入義務があります。
しかし、
「アルバイト収入しかない」
「保護者も学費や仕送りの負担が大きく保険料を払う余裕がない」
という方も多いでしょう。
そのような学生のために設けられているのが学生納付特例制度です。
この制度を利用すると、保険料の納付が猶予されます。
さらに、障害年金を請求するときには、納付要件を満たす期間として扱われます。
つまり、
「払えないから放置する」のではなく、「学生納付特例を申請する」ことが将来の安心につながるのです。
学生ではない方でも、
など、保険料を納めることが難しい場合があります。
そのようなときには、
などがあります。
「払えないから仕方ない」と未納のまま放置するのではなく、まずは市区町村役所やや最寄りの年金事務所へ相談してください。
手続きをするかしないかで、将来受けられる制度が大きく変わることがあります。
障害年金の相談で実際によくあるのが、
「障害の程度は十分該当しているのに、保険料納付要件を満たしていなかったため受給できなかった。」
というケースです。
例えば、
20歳を過ぎても国民年金を一度も納めず、免除や学生納付特例の申請もしないまま数年が経過したとします。
その後、交通事故や精神疾患、難病などで働けなくなってしまっても、保険料納付要件を満たしていなければ障害年金を受給できない可能性があります。
さらに注意したいのは、初診日の後に保険料を納めても、納付要件を満たせないケースがあるということです。
「あとで払えば大丈夫」と思っていると、取り返しのつかない結果になることもあります。
※プライバシーに配慮し、一部内容を変更しています。
20代女性。
大学2年生の時に勉強や人間関係のプレッシャーからうつ病を発症しました。
実は、20歳になってすぐに学生納付特例の申請を行っておらず、うつ病で通院を開始した数カ月後に役所に申請に行きました。
大学卒業後、何とか就職できたものの大学生の時に発症したうつ病が悪化し、入社後僅か半年で仕事を続けることが困難となり退職してしまいました。
退職後は自宅に引きこもり状態となり、誰とも会いたくありません。
障害の程度は障害年金2級に該当する可能性がありましたが、うつ病で治療を開始する前に学生納付特例の申請をしていなかったため、保険料納付要件を満たすことができず、障害年金は認められませんでした。
ご家族からの相談でしたが、
「こんな制度があるなんて知らなかった。」
「こんなことになるなら、20歳になってすぐに親が学生納付特例の申請をしてあげるべきだった。」
と話されていました。
障害年金の相談では、このようなケースは決して珍しくありません。
国の年金制度というと、高齢者の制度だと思われることがあります。
そして、若い人ほど、「どうせ将来年金なんかもらえないからと払ってもしょうがない。」と思いがちです。
しかし、障害年金は、若い人でも請求できる国の年金制度なんです。
精神疾患や発達障害、事故、脳の病気、がんなどは、年齢に関係なく発症する可能性があります。
健康な今だからこそ、「自分には関係ない」ではなく、「万が一に備える制度」として考えていただきたいと思います。
老後の年金だけではなく、障害年金や遺族年金といった「もしものときの保障」を支える大切な保険でもあります。
障害年金を受給するためには、障害の状態だけではなく、保険料納付要件を満たしていることが必要です。
特に学生や国民年金加入者の方は、「払えないから未納にする」のではなく、学生納付特例制度や保険料免除制度を利用することが大切です。
一度未納期間ができてしまうと、後から取り戻すことが難しい場合があります。
将来、「受給できるはずだった障害年金が受けられなかった」と後悔しないためにも、年金保険料を納めること、納められない場合は必ず免除申請や納付猶予の手続きをすることを心掛けましょう。
当事務所では、障害年金の受給要件や保険料納付要件についてのご相談も承っています。
「自分は納付要件を満たしているだろうか」
「学生納付特例を利用していたけれど大丈夫だろうか」
「免除期間がある場合でも請求できるのだろうか」
このような疑問がある方は、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
障害年金は、正しい知識を早く持つことが、将来の安心につながります。
みらいブリッジ障害年金アシスト
~障害年金に特化した社労士事務所~
みらいブリッジ社労士事務所
代表 社会保険労務士 久松 啓子
静岡県富士市青島町158 1F
【業務提携事務所】
たか社労士・行政書士事務所
代表 社会保険労務士・行政書士
久松 隆雄
